親が認知症や障がいのあるまま亡くなったときの相続登記
相続が発生したとき、亡くなった方(被相続人)がご存命中に認知症や障がいがあり、財産の管理や意思の確認が難しかったケースでは、相続登記の手続きに戸惑う方が少なくありません。「そもそも遺言は有効なのか」「生前の財産管理はどう扱われるのか」といった疑問が重なり、通常の相続よりも複雑に感じられることがあります。
生前の財産管理が登記に影響することがある
認知症や障がいのために判断能力が十分でなかった期間があると、成年後見制度などを利用して財産管理が行われていた場合があります。こうしたケースでは、亡くなった時点での財産の状況や名義を正確に把握することが、相続登記の前提として必要になります。生前にどのような管理が行われていたかによって、確認すべき書類や手続きの進め方が変わることもあるため、状況を整理しておくことが大切です。
また、生前に作成された遺言書がある場合、その内容が有効かどうかが問題になることもあります。判断能力の状態によっては、遺言の効力について相続人の間で見解が分かれることもあるため、慎重な確認が求められます。
相続人の中に認知症や障がいのある方がいる場合の配慮
被相続人だけでなく、相続人自身が認知症や障がいを抱えているケースもあります。遺産分割協議は相続人全員の合意が前提となるため、判断能力に不安がある相続人がいる場合は、成年後見人などを通じて手続きを進める必要が生じることがあります。この点を見落としたまま協議を進めてしまうと、後になって手続きのやり直しが必要になることもあるため、早い段階で専門家に相談しておくと安心です。
相続登記そのものは、こうした事情があっても進めることができます。ただし、通常よりも準備すべき書類や確認事項が増える傾向にあるため、余裕を持って取り組むことが望ましいといえます。
手続きを後回しにしないための考え方
相続登記は近年、義務化に向けた見直しが進み、名義変更の件数も増加傾向にあります。法務省の登記統計によると、相続による土地の所有権移転登記は2025年に1,167,635件、建物では205,799件となっています(法務省「登記統計 令和7年 年報」)。これだけ多くの家庭で相続登記が行われている一方で、認知症や障がいが絡む事情がある家庭ほど、手続きが後回しになりやすい傾向もあるようです。
- 生前の財産管理の記録を整理しておく
- 遺言書の有無と内容を確認しておく
- 相続人の中に支援が必要な方がいないか把握しておく
こうした点を早めに確認しておくことで、いざ相続が発生したときの負担を減らすことにつながります。事情が複雑に感じられるときこそ、一人で抱え込まず、専門家の力を借りることが安心への近道になります。
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参考資料
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